さようなら、僕たちのビットワールド・天才ビットくん。
世の中というのは出会いと別れで構成されていて、特に2月は来年度に向けての「別れ」がボチボチ通告される時期でもあります。そして、2026年2月12日――そんな「別れ」の中でも最大級にショッキングな「別れ」がNHKのEテレから告げられました。

https://www.nhk.or.jp/bitworld/
NHKのEテレで金曜午後17時30分から放送中の人気子供番組『ビットワールド』が令和7年度いっぱいで終了するというショッキングなニュースです。
当たり前の話ですが、公共放送であるNHKはその年度の前期と後期で大まかな編成を決めてだいたい2月に発表するというのが毎年の流れとなっています。まあ、アナウンサーの地方異動による卒業でヤキモキするアナウンサー界隈、うたのお姉さんやお兄さん・体操のお兄さんの続投や卒業でヤキモキするおかいつ界隈を見ていたら分かると思いますが……。
創作のルーツとしての天才ビットくん
ビットワールドには前身として平成13年度から平成18年度にかけて放送されていた『天才ビットくん』という子供番組がありました。
まあタイトルを見れば分かりますが天才ビットくんは『天才てれびくん』(平成13年度当時は天才てれびくんワイド)の姉妹番組としてスタートしました。天てれがハガキ・電話主体の視聴者参加型子供番組だったのに対して、天才ビットくんが画期的だった部分は「インターネットから参加する子供番組だったこと」です。当時はITバブル等もあってパソコンを持つ家庭が少しずつ増えていた頃で、そんな中でNHKは「インターネットのメールを利用して子供からアイデアを募って、そのアイデアによってドラマパートの展開を変えていく」という新機軸の子供番組を創り上げることになりました。その結果、天才ビットくんのドラマパートはとても子供番組とは思えないダークな展開で私のようなコアなファンの取得に成功することになります。ついでに自分の小説の作風がダークなのも多分天才ビットくんの影響かもしれません。
特に平成14年度(2002年)は子供番組なのに救いのないドラマパートだったので妙に印象に残っています。その内容は「バグハグ大王(本編のラスボス)がサイバー世界をハッキングしてしまったのでリセットするために箱一郎(番組のマスコットキャラ)とかめっぷう(視聴者投稿によって生まれたサイバー世界上の動物)を合体させてハッキングされた世界をリセットする」というモノで、結果として世界はリセット、白い世界に残されたのはいとうせいこう演じる主人公と中村ゆうじさん演じる相棒だけというショッキングな結末でした。一応言っておきますが、コレ子供番組です。
その後、平成15年度(2003年)にくりぃむしちゅーの上田晋也さんを加えて新たなドラマパートが展開される訳ですが、1学期冒頭で「いとうせいこう以外の全員がサイバー世界の記憶をなくしている」という衝撃的な設定はネットや学校で大きな賛否両論を巻き起こしました。ちなみにハッキング事件でバグハグ大王から濡れ衣を着させられてしまった早乙女未来さん演じるとある少女はサイバー世界がリセットされる前に脱出しているんですが……脱出の過程が結構衝撃的な理由だったりします。ついでになぜ一連のハッキングがバグハグ大王の悪行だと分かる前に濡れ衣を着せられた彼女がサイバー世界から脱出したのかは平成15年度後半の展開にも大きく関わってきます。
そして、平成19年度にバカリズムさん・金子貴俊さん・中田あすみさんという3人のレギュラーキャストを加えて現行の『ビットワールド』にリニューアル、現在に至っています。(売れすぎたので上田晋也さんはオミットされました……)
いつまでもあると思うな子供番組
現行のビットワールドにリニューアルしてからは不評だった年度を除き大体2年に一回ドラマパートがリニューアルしています。
- 平成19年度→はじまりの世界編
- 平成20年度~21年度→ビーボ編
- 平成22年度→時空編
- 平成23年~平成24年度→夢世界編
- 平成25年~平成26年度→宇宙編
- 平成27年度→地底世界編
- 平成28年度~平成29年度→ビットキャッスル編
- 平成30年度~令和3年度→ロボコ編/メガ校編※
- 令和4年度~令和5年度→ピカパカ星編(実写パートなしのアニメ)
- 令和6年度~令和7年度→ナンダー編(実写パートなしのアニメ)
※ロボコ編の途中(令和元年)でコロナ禍に突入してしまい撮影スケジュールの都合もありシナリオ変更せざるを得なくなったのでロボコ編後半とメガ校編はほぼ一本線で繋がっている状態
特に夢世界編はドラマとしてのシナリオもしっかりしていて個人的には好きなドラマパートの一つに入っていますが……正直言って宇宙編以降シナリオの低俗化が目立つようになり、さらにピカパカ星編は実写パートを廃止した上で全編アニメになってしまい、時間変更(午後6時20分→午後5時30分)もあってターゲット層が一気に低年齢化、結果として番組に対して引導を渡してしまうことになってしまいました。明らかに自分がターゲット層から外れても3学期末の緊急生放送は「何かあるんじゃないか」と思いながら見てきては翌年度1学期冒頭で裏切られてきたので当然でしょう。
一方、ドラマパート以外のコーナーもマンネリ化が続いていました。あまりにもプリティーなキュアすぎて大きなお友達から絶大な人気を誇ることになる『不思議チェンジ・ピンキーマカロン』という中田あすみメインのコーナー(平成22年度スタート)は長寿コーナーとなり結果として平成26年度まで続くことになります。その後、令和4年にインスタグラマーと心霊写真をモチーフにした『ゴースタグラマー・ナーナ』としてリスタートしますが、中田あすみ自身の高齢化もあり正直ピンキーマカロンほどの輝きがなかったが実情です。
もちろん、キャストの高齢化だけが番組を衰えさせた訳ではありません。世紀のクソアニメ『ポプテピピック』のとあるパートやORANGE RANGEのMVを手がけて一躍有名となった変な映像集団・AC部による視聴者投稿型アニメコーナーは子供たちに大ウケした結果毎年のようにネタを変えてきましたが、ここ2~3年は『ファスナーくん』という大喜利アニメでほぼ固定されていた状態でした。恐らくAC部側もネタ切れを自覚していたのでしょう。
終幕の序曲
天才てれびくんのアニメコーナーに倣い、完全に枠が定着した平成15年度から天才ビットくんにもアニメコーナーが新設されることになりました。第1弾作品は石ノ森章太郎原作の『ワンダーベビルくん』、第2弾は雨宮慶太原案の『魔法少女隊アルス』でしたが、いずれも「子供番組にしてはニッチすぎるセレクト」ということであまり評判は良くありませんでした。まあ自分は魔法少女隊アルスが好きでしたが……。その代償として平成16年度のドラマパートはほぼ黒歴史ですが。
そんなアニメ枠に対して転機が訪れたのは平成17年度。アニメ枠として放送されていたリリー・フランキーの絵本を原作とした『おでんくん』が大ヒット。ビットワールドを跨ぎ平成20年度までオンエアされることになりました。(後にテレビ朝日へ権利譲渡)
その後、平成24年度におでんくんのテレ朝からトレードされるカタチで放映がスタートした『秘密結社鷹の爪』が予想通り(?)の大ヒット。毎年の様に擦られるポイポンネタはもはや秋の風物詩と言っても過言じゃない状態でした。某スマホがauから発売された時期と何気に被ってるんですよね、このネタ……。
もちろん、鷹の爪以降も『あはれ!名作くん』(平成28年度~令和3年度)や『100秒でわかる名作劇場』(令和4年度~令和6年度)など、ビットワールドのアニメ枠はコンスタントに人気作を連発することになりますが……令和7年度、突如「アニメ枠廃止」という事態になってしまいます。廃止されたアニメ枠の代わりには歌のコーナーが入っていましたが、これが下手なボカロPレベルで酷い。それならまだこっちのけんとプロデュースのポリコレ子供番組『The Wakey Show』の歌のコーナーの方がマシだと思います。
引き際の難しさ
ここからは個人的な考えですが、多分ビットワールドからアニメ枠が消えた時点で番組としての賞味期限はキャストの高齢化も含めてとうの昔に切れていたんじゃないかと思います。
子供番組の引き際が難しいのは承前ですが、個人的には平成28年度で終わっておけば良かったんじゃないかと思っています。平成28年度は番組としてもちょうど15周年で、ドラマパートの終わり方もきれいでしたが、平成29年度に突如デスノートのパクリだと思う予言のノートという設定が追加されたことによってシナリオ自体がグダってしまい、さらにいとうせいこう自身の左傾化もあって一時期リアタイすることを避けていました。彼を教訓として学んだのがまさしく「引き際の難しさ」。これは確実に言えるでしょう。まあ、ロボコ編の前半は当時流行っていたクトゥルフ神話ネタもあってそこそこ面白かったんですが……。ロボットにクトゥルフ神話って聞いて某アダルトゲームを思い浮かべたら負け。
それはともかく、いとうせいこうさん、およびキャストの皆さん……25年間お疲れ様でした!
ちなみに後継番組は『出川哲朗のクイズほぉ~スクール』の再放送と月イチで『診療中!こどもネタクリニック』の再放送らしい……味気ない……。
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