ミステリの入口は、何だっていいんだよ。

ミステリ小説でメジャーデビューを目論んでいる人間からしてみれば放っておけない話題がゴミSNSことXに上がってきたのでこちらからお気持ち表明したいと思います。

そもそもの発端

発端はこんな何気ないポストでした。

『金田一少年の事件簿』といえば1992年に少年マガジンで連載開始、少年漫画において「推理漫画」というジャンルを確立させた記念すべき作品と言えます。
金田一耕助の孫(という設定の)高校生、金田一一(きんだいちはじめ)が恋人の七瀬美雪や警部の剣持勇とともに色々な場所で起こる殺人事件を解決していくという流れは後の様々な推理漫画に影響を与えました。特に分かりやすい例で言えば後述する1994年に少年サンデーで連載開始された『名探偵コナン』でしょうか。

少年誌における推理漫画の金字塔だけあって様々なメディアミックスが主に日テレ方面で展開されており、そのメディアミックスはアニメやドラマ、実写映画など多岐にわたります。ちなみに私はドラマ版に関して言えば堂本剛と松本潤の谷間世代ですが堂本剛の方が好きです。

しかし、作画担当のさとうふみや先生が宗教トラブルを起こしてしまい、今では講談社の間でもさとうふみやの名前はほぼなかったことにされた上で読み切りや連載の外伝が多数制作されているのが現状です。

絶句と阿呆

そんな何気ないポストに対して、2人の小説家(それもどうやらプロらしい)がある引用をしてきました。

絶句はまだしも、「阿呆」はとてもプロの小説家の引用とは思えません。

色々情報を収集した結果、『金田一少年~』自体はどうやら過去の推理小説からトリックやネタをパクっているためプロの小説家からの評判が著しくないらしいですが、そんなことを言ったら『名探偵コナン』はどうなってしまうんでしょうか。

真実はいつも一つ

『金田一少年~』から遅れること2年、1994年に少年サンデーで連載開始された『名探偵コナン』はその個性的なキャラクターと「高校生が謎の薬で身体を小さくされて名前を偽り小学生として身を隠す」という奇天烈な設定から『犬夜叉』と並び一躍サンデーの看板作品となります。一時期の読売テレビ月曜19時台はこの2作がアニメで並んでいたこともあったりしました。というか『魔法騎士レイアース』終了後の「金田一少年→コナン」と「犬夜叉→コナン」の頃が黄金期かもしれません。逆を返せば犬夜叉連載終了後に『葬送のフリーレン』が出てくるまでコナンしか看板作品がないとも言える状況でしたが……。

そんなコナンの主人公の名前は「江戸川コナン」とそのまんま。元々は「工藤新一」という高校生が悪い組織から謎の薬を飲まされて身体が縮んでしまい、恋人である毛利蘭(コレもそのまんまの名前)から名前を聞かれた際に「江戸川乱歩」と「コナン・ドイル」の全集が目に入り、とっさの判断で自ら江戸川コナンと名乗りました。結局理論は金田一一と同じじゃねーか!
※毛利蘭の元ネタは「モーリス・ルブラン」というフランスの推理小説家。代表作は『怪盗紳士ルパン』で、さらに分かりやすく言えばRPG『ペルソナ5』の主人公(雨宮蓮)のペルソナ・アルセーヌの元ネタで、なおかつ彼が居候することになる喫茶店の店名が「ルブラン」である。

実際、私もコナンがなければ『シャーロック・ホームズ』や『少年探偵団』に触れることはありませんでしたし、その登場人物に追随する小説を追うこともありませんでした。

例えば
・毛利小五郎(蘭の父親でダメ探偵)→明智小五郎
・妃英理(蘭の母親で小五郎とは別居中の弁護士)→エラリイ・クイーン
・阿笠博士(コナンを手助けする天才博士)→アガサ・クリスティー
・目暮十三(コナンが新一だった頃を知っている警部)→ジュール・メグレ
・横溝参悟(度々コナンとともに事件を解決する警部。珊瑚のような頭が特徴)→横溝正史
・京極真(蘭の同級生・園子の恋人)→京極夏彦と極真空手
など、初期から登場する主要な人物のほとんどがミステリ作家やその作品に登場する探偵が元ネタになっています。他にも色々ありますがそれは自分の目で探してみてください。多分笑います。

まあ最近のコナンは話が大きくなりすぎて着地点が迷子になっている感がありますが、とにかくコナン君がいなければ今の自分はないと言っても過言ではありません。マジで。

入口は何だっていいんだよ

とはいえ、そういうコナン君も金田一少年と同じく有名な推理小説からパク……もといオマージュした事件が数多くあります。個人的には「何を間違えたのか『南総里見八犬伝』に『バスカヴィル家の犬』をミックスした事件」にニヤリとした記憶がありますし、初期の名エピソードである『山荘包帯男殺人事件』の元ネタは言うまでもなく横溝正史の名作、『八つ墓村』でしょう。遺体の隠し場所は理論的にどうかと思いますが……。

そんなことはともかく、金田一少年でミステリ小説を好きになるのも良し、コナン君でミステリ小説を好きになるのも良し、綾辻行人や有栖川有栖で新本格に触れてみるのも良し、東野圭吾や京極夏彦で「キャラから入る」のも良し。とにかくミステリの入口は何だって良い。それが私の考えです。

私は知っての通り全盛期の講談社ノベルスで殴られた人間なので、入門として読むなら写真の5作だと思います。今なら講談社文庫で新装版が出ている作品もあるので多分入手ハードルはかなり低いと思います。(少なくとも綾辻行人と有栖川有栖、京極夏彦は講談社文庫で新装改訂版が出ています)

みんながミステリ小説を読んでくれないと、ミステリそのものがオワコンになってしまいますよ?

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