【お気持ち表明】震災はエンタメじゃない

実は『バレリーナ : The World of John Wick』を見に行った翌日に『8番出口』の実写版を見ようと思っていたんですけど予約のフェーズで三角マークが多かったのでスルーしました。(OSシネマズミント神戸は最近映写機トラブルが多発しているので純粋な東宝系であるTOHOシネマズ西宮OSで予約しようと考えていた)

とはいえ、結局実写版『8番出口』はスルーして正解だったようです。なぜなら、公開から3日経った後に、公式から以下のような注意喚起がされたからです。

映画『8番出口』公式サイトよりスクリーンショット

私は原作のゲームをプレイしていませんが実況プレイを見ることが多かったので公式の注意喚起から「あの怪奇にまつわるシーンのことだろうか」と思いました。
しかし、「あの怪奇」に関して映画を見た人から「とんでもない原作改変がされていたこと」が明らかになりました。

そもそも『8番出口』とは

元々はPC/Nintendo Switch向けのインディーゲームで、タイトルの通り「8番出口からの脱出を目指す」というシンプルな脱出ゲームです。
しかし、「8番出口」からはそう簡単に脱出できません。出口に向かうにつれ次々と「怪奇」が襲ってくるので、その「怪奇」から引き返せなかった時点で最初からやり直しという中々シビアな脱出ゲームとなっています。どちらかと言えばホラーADVに近いモノがあるかもしれません。

PC版

Nintendo Switch版(Switch2でも遊べるみたいです)

その奥の深さからインディーゲームでは異例のセールスを記録しており、様々なメディアミックス展開がされています。実写映画版はメディアミックスの1つであり、まさかの監督川村元気・主演二宮和也・サントラ担当中田ヤスタカという無駄に豪華なキャストとスタッフで実写化されました。ちなみに、実写映画版のノベライズも川村元気自ら手がけているそうです。

震災はエンタメじゃない

ところが、実際に映画を見た人から「とあるシーンで東日本大震災の暗喩があった」というレビューが寄せられることが多く、私は「原作にそんなシーンはないだろう」と半信半疑でそのレビューを読んでいました。
しかし、公開から3日経ったタイミング(ちょうど興行収入ランキングが発表されるタイミング)で公式から「津波に関する描写があるので鑑賞の際は気をつけてください」という旨の注意喚起が公式サイトおよび各種SNSに掲載されました。
というのも、原作における「赤い水が押し寄せてくる怪奇」がどういう訳か「緊急地震速報が鳴った後、大量の水と瓦礫が押し寄せてくる」という風に改変されていたようです。
私はこの原作改変に対して怒りの感情を覚えました。震災をエンタメとして扱ってほしくなかったからです。

少し前に地元に泥を塗った世紀の駄作朝ドラ『おむすび』も神戸が舞台で阪神淡路大震災から30年の節目で震災を題材としていましたが、地元の人間からしてみれば震災の描写は正直良い気分ではありませんでした。それならまだ震災を描かずに終わった同じ神戸が舞台の『べっぴんさん』の方がマシだったような気がします。
※『べっぴんさん』は戦前前後のファミリア創業秘話をベースとしているのでファミリアのクマのマーク(ドラマではリスのマークに改変)が誕生して、創業者たちが次の世代へとバトンを渡した時点で物語が完結しています。
2016年から2017年にかけてに放送されていたので当初は20年の節目に震災も絡めたかったらしいけど「東日本大震災のせいで洒落にならない」という理由で脚本が大幅に変わったとか……。

『おむすび』はいわゆる「NHK大阪制作の朝ドラ」ですが、「NHK東京制作」の朝ドラで東日本大震災を題材とした『あまちゃん』や『おかえりモネ』も視聴をスルーするぐらい私は震災の描写が苦手です。

確かに「災害を風化させないこと」は大切ですが、それを「エンタメとして消化すること」には断固として反対です。私は北部出身ですが、阪神淡路大震災発生時はこちらでもかなり揺れたことを覚えています。おまけに東日本大震災で津波に押し流される街の映像をリアタイで見ているので、余計とトラウマが心の奥底に残っています。京極夏彦の『鵼の碑』に対してせっかくの百鬼夜行シリーズ最新作だったのにモヤモヤとした感情を覚えたのもコレが原因です……。

「震災はエンタメじゃない」。それが私の自然災害(特に地震)に対するスタンスです。

ちなみに

『バレリーナ : The World of John Wick』のレビュー記事はコチラ。中々面白かったです。

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